音楽によるアウトリーチ 神戸女学院大学音楽学部
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子どものためのコンサート 2006年度

「第14回 七夕コンサート」

7月1日(土)、本学講堂にて「子どものための七夕コンサート」(子どものためのコンサート・シリーズ第14回)を開催しました(11時、15時の2回公演、来場780名)。「音楽によるアウトリーチ」履修生(4回生)11名と賛助出演2名の計13名が出演。織姫と彦星の別れと再会のオリジナル・ストーリーと演奏、さらに聴衆を巻き込む演目を組み合わせたプログラムを展開しました(声楽・谷田奈央(織姫)、海老原ゆかり(神様)、高林保子/フルート・上原梨絵(彦星)、今井さつき、山上綾華/打楽器・橋本麻衣=賛助出演/オルガン・川勝さちこ/ピアノ藤村真代、西村遥子、白坂亜紀、谷優以子、革島玲奈=賛助出演)。

演奏曲は、定番の《七夕さま》に加えて、ヴェルディ《乾杯の歌》や武満徹《島へ》、カステレード《フルート吹きの休日》など、七夕とは関係のない曲もストーリーの力で盛り込むことができ、バラエティーに富んだものになりました。マリンバのソロで演奏したハチャトリアンの《剣の舞》では、素早いマレット(ばち)の動きに、子どもたちの目がくぎづけになっていました。《ドレミの歌》で子どもたちを舞台に上げてトーン・チャイムで一緒に演奏したり、全員で色紙を使って演奏に参加してもらう場面も設けました。色画用紙には色ごとに「ド」「レ」「ミ」と音名が書いてあり、歌の中でその音が出てきたら色紙を高く上げてもらうという方法でした。このコーナーは非常に好評で、子どもたちがとても楽しそうに参加している様子がステージからもよくわかりました。終演後には体験コーナーを設け、子どもたちに五種の楽器(フルート、トーン・チャイム、マリンバ、オルガン、ピアノ)に触れてもらいました。お客さまからは「ほのぼのとした温かみのあるコンサートだった」、「ドレミの歌に全員で参加できたのが楽しかった」といった声を頂きました。

裏方を支えるスタッフも、前回からの申し送りで照明を効果的に用いたり、インカムを駆使して連絡を取り合いながら進行したり、また前進しました。ハプニングにも素早く臨機応変に対応してくれたので、出演者は舞台に集中することができました。 出演者が教育実習や学校行事などでなかなかそろわず、練習や準備に苦労しましたが、曲目・台本・司会・衣装・大道具など全てを自分たちで考え、コンサートのために毎日頑張ったことは、今後のための大変よい経験になりました。

「第15回 オルガン・コンサート」

10月21日(土)、本学講堂にて「子どものためのオルガン・コンサート」(子どものためのコンサート・シリーズ第15回)を開催しました(14時開演、来場197名)。  卒業生で神戸女学院オルガニストの片桐聖子、早野紗矢香、そして学部の4回生でアウトリーチ履修生の川勝さちこが出演、一般になじみの薄いパイプオルガンについて分かりやすく説明し、子どもたちに親しみを持ってもらうことをねらいにプログラムを展開しました。

マサイアス《ファンファーレ》で華やかに始まり、バッハ《トッカータとフーガ ニ短調》、ソレール《2台のオルガンのための協奏曲集より第3番》など本格的なオルガン作品から、オリンピックで有名になったプッチーニのオペラ・アリア《誰も寝てはならぬ》、本居長世(早野紗矢香・編曲)《七つの子》など、小さな子どもたちも知っている作品まで幅広く取り上げました。

講堂の2階にある大オルガンで演奏している姿を舞台上のスクリーンに映したところ、普段見る事のできないオルガン奏者の奮闘ぶりを目の当たりにして、お客さまからも驚きの声があがりました。

曲の合間にはオルガンの音が出る仕組みを説明し、子どもたちには実際にパイプを1本ずつ手に持って、笛のように鳴らしてもらいました。短く細いパイプからは高い音が、そして大きなパイプからは低くしっかりとした音が聞こえ、オルガンの構造をより身近に感じていただけた様子でした。

また、数人の子どもたちに舞台へ上がってもらい、オルガンの小型模型を使って、パイプに空気を送るふいごと鍵盤の役割をじっくりと調べてもらいました。昔のオルガンは今のように電動でなかったため、このふいごを動かすためにアルバイトを雇っていたというこぼれ話には、大人の方も興味を持ってくださったようです。

コンサート終了後には恒例の体験コーナーを設け、子どもたちは長い行列を作って順番にオルガンの椅子に上り、実際に自分の手で音を出して楽しんでいました。オルガンの椅子は少し高いので、楽器にたどり着くのも一苦労のようでした。 同時に大人の参加者も交えて、講堂二階のオルガン探検ツアーも催しました。楽器そのものが大きな建物のようになっているオルガンの内側は、沢山のパイプや機械で複雑に構成され、精密機械のようでした。スタッフの説明と共に、しきりにシャッターを切る音も聞こえました。

お客さまからは、「今回はオルガンだけということでしたが、想像以上によかったです」、「足まで使って演奏するなんてすごい」、「迫力があり、楽しかった。パイプの体験も楽しかった」といったお声を頂きました。

縁の下の力持ちであるコンサートスタッフも回を重ねるごとに段取りが良くなり、経験のある上級生が今回新しく加わったスタッフに今までの経験を伝えるなど、次から次へと受け継いでいく体制が整ってきたように感じられました。

「第16回 クリスマス・コンサート」

12月16日(土)、本学講堂にて「子どものためのクリスマス・コンサート」(子どものためのコンサート・シリーズ第16回)を開催しました(第T部・11時〜、第U部・16時〜、来場者数1277名)。
出演は、「音楽によるアウトリーチ」既習生を含む8名。ピアノや打楽器、フルート、オルガンといった多彩な楽器に歌も加わり、ソロ演奏やアンサンブルでクリスマスにふさわしい華やかなプログラムをお届けしました(声楽・南香代子/ピアノ・河戸茉悠、伊規須彩花、多田安希子、谷村早聴子/打楽器・田中麻衣子/フルート・増田みのり/オルガン・川勝さちこ)。

オルガンでワインライト作曲《目覚めよ》(ローズソーン編)が高らかに奏でられ、一気に客席をクリスマスの世界へ。その後、M・トーメ/R・ウェルズ《クリスマス・ソング》、J・S・ピアポント《ジングル・ベル》などのクリスマス曲の他、J・S・バッハ《主よ 人の望みの 喜びよ》、W・A・モーツァルト《フルート協奏曲 ニ長調》、M・シュミット《ガーナイア》などそれぞれの楽器の魅力を味わえるクラシック曲を演奏しました。

リボンを使ったリズム遊びでは、初めて会場で出会ったお友達と一緒に、色々な種類のリズムを《ジングル・ベル》にのせて楽しみました。子どもたちは、リボンの色ごとに違うリズムを打ち、音楽に合わせて動いたり止まったりと大忙し。そのほかに讃美歌メドレーを歌うなど、お客様にもコンサートに参加していただき、会場が一つとなってコンサートを盛り上げました。

お客様からは、「素敵なクリスマスの思い出になった」、「子どもたちはクリスマスの楽しい曲を聴き、楽器にも触れ、大満足だった」、「生の音楽の良さを子どもが感じられるいい機会だ」といったお声をいただきました。コンサート後の出演者には安堵と喜びの表情がみてとれ、会場を後にされるお客様との交流を楽しんでいました。

出演者は、たくさんのお客様との触れ合いを通じて学んだことが多く、また、会場の温かい雰囲気やお客様の反応を感じ取ることができて、今後演奏活動を続けていく大きなエネルギーともなったようです。出演者、お客様、そしてコンサートを支えてくれた裏方のスタッフ全員が一体となって、今回のコンサートを作りあげることができました。今後も地域の皆様に喜ばれる子どものためのコンサートをお贈りしたいと思います。