音楽によるアウトリーチ 神戸女学院大学音楽学部
取組について メッセージ 活動紹介 お客様の声 今後の予定 よくあるご質問 お問合せ サイトマップ 関連リンク
Home > 活動紹介 > 子どものためのコンサート

子どものためのコンサート

「第17回 七夕コンサート」

《おもちゃのシンフォニー》7月7日(土)、本学講堂にて「子どものための七夕コンサート」(子どものためのコンサート・シリーズ第17回)を開催いたしました(第T部・11時〜、第U部15時〜、来場者数965名)。
「音楽によるアウトリーチ」履修生8名(4回生、ピアノ・声楽・ヴァイオリン・フルート専攻)と賛助出演1名の計9名が出演。今回は、演奏者だけでなく会場の子どもたちも一緒に色々な音を鳴らして共に音楽で表現するということをテーマに、フルート、ヴァイオリン、ピアノ、歌によるソロ演奏やアンサンブル、会場の子どもたちも参加しての演奏など、多彩な内容でコンサートを盛り上げました(今中百合、井上香菜、中須賀真弓、杉原真弓、山本佳苗・金月里紗(賛助出演)・ピアノ/東瑛子・ヴァイオリン/片岡朗子・フルート/奥田敏子・声楽)。

出演者全員による、下総皖一/武鹿悦子《たなばたさま》のアカペラ演奏で開演すると、にぎやかだった客席が静まり、出演者たちの歌声が会場内に響き渡りました。その後、織姫と彦星のストーリーを織り交ぜながら、W・A・モーツァルト《ディヴェルティメント》、大きなお月様をバックに、石黒晶/まどみちお《つきのひかり》(声楽)、織姫と彦星の仲のよい様子をE・エルガー《愛の挨拶》(ヴァイオリン)で表現しました。そして、遊んでばかりいる二人に対して怒った神様の様子をC・サン・サーンス《死の舞踏》(ピアノ・デュオ)で力強く演奏。その迫力はお客様にもよく伝わったように思いました。そして最後に、R・ラヴランド/B・グラハム《あなたが力づけてくれるから You Raise Me Up》(アンサンブル)を演奏し、今回のコンサートの最後を飾りました。このように、それぞれの楽器の音色や魅力を感じてもらえるようにとアウトリーチ履修生全員で考えた多彩なプログラムを展開していきました。

また、会場の子どもたちと一緒にアンサンブルを楽しむ曲も取り入れました。G・キングスレイ《バロックホウダウン》では手拍子や踊りで音楽に合わせて遊んでもらい、子どもたちが身につけた光る腕輪がほんのりと暗くなった会場できらきらと輝いて、雰囲気を盛り立てていました。L・モーツァルト《おもちゃのシンフォニー》では、小銭入れや足踏みの音など身近なものや自分自身で出せる音を探してもらい、子どもたち数人にはステージに上がって一緒に演奏してもらいました。会場全体が様々な音に包まれ、それぞれが自分たちの出している音を曲と共に楽しんでいる様子でした。

フルートを吹いてみよう! 終演後はおなじみの楽器体験コーナーです。コンサートで使った楽器(フルート、ヴァイオリン、ピアノ、チェレスタ、トーンチャイム)を実際に体験してもらいました。子どもたちは、楽器から音が出た瞬間その音にびっくりしたり、コンサートで歌った《きらきら星》を弾いてみたりと、楽しそうに目を輝かせていました。また、そんな子どもたちを見ていると、私たちも音との出会いの大切さを改めて感じました。
  お客様からは、「演奏者の心が伝わる素敵なひとときだった」「七夕のお話に合わせた選曲で想像がふくらみ、よかった」「音楽、コンサートの楽しみ方を子どもたちに教えるいい機会となった」といった嬉しいお言葉の他、「もっとたくさんの曲を聴きたい」「もう少し子ども向きの曲も聴きたい」など、今後の活動への参考となるご意見もいただきました。子どもは、その場その場でストレートに反応してくれるので、その反応を確かめながらプログラムを進めていくというのは貴重な経験になりました。また、聴きにきてくれた子どもたちが「すごく楽しかった!」と笑顔で言ってくれたことが何より嬉しかったです。

準備段階では、教育実習などで出演者全員が揃いにくく「果たして本当にうまくいくのか」という不安が募っていました。しかし、いざ本番を迎えると、緊張しながらも全員が楽しんで二回公演をやり遂げることができました。皆でこのコンサートで伝えたいことを話し合って気持ちを一つにしていくことができ、また、七夕コンサートに関わった全てのスタッフとも力を合わせて公演できたことは、今後の活動のための大きな励みになりました。

第18回 スペシャル・コンサート 〜5つの弦楽器とピアノのゆかいな音楽会〜

5つの弦楽器とピアノ秋晴れに恵まれた10月20日(土)、本学講堂で「子どものためのスペシャル・コンサート 〜五つの弦楽器とピアノのゆかいな音楽会〜」(子どものためのコンサート・シリーズ第18回)を開催しました(午後2時〜、来場者数365名)。

今回のコンサートは、いずれもプロの音楽家として多方面でご活躍の6名の方にご出演頂いて、弦楽器のファミリー(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)の紹介とピアノ五重奏に至るアンサンブルをたっぷり楽しんで頂こうという趣向で、スペシャルの名にふさわしい豪華なものとなりました。ご出演下さったのは、釋伸司(ヴァイオリン)、菊本恭子(ヴァイオリン)、高村明代(ヴィオラ)、雨田一孝(チェロ)、南出信一(コントラバス)、佐々由佳里(ピアノ)の6氏で、この内、菊本氏は本学卒業生、南出氏、佐々氏のお二方は本学音楽学部で学生の指導にも当たっておられます。

コンサートの幕開けは、モーツァルト《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》より第1楽章。5人の弦楽器奏者が登場して、きびきびと演奏します。

司会の南出氏がマイクを握り、コンサートについてお話をした後、楽器紹介のコーナーに入ります。各楽器の特徴について、短いお話とその特徴がよく分かる曲を次々と演奏して紹介していきます。まずピアノでドビュッシー《子供の領分》から〈グラドゥス・アド・パルナッスム博士〉。次に菊本氏のヴァイオリンでゴセック《ガヴォット》。続いてヴィオラで新井満《千の風になって》。聴衆がぐーっと惹き込まれていきます。さらにチェロでトゥルニエの《秋の散歩道》。最後にコントラバスでサン・サーンス《動物の謝肉祭》から〈象〉。同じ弦楽器でも、大きさが大きくなるにしたがって音が下がるだけでなく、音の色合いが変わっていきます。

次に、同じ旋律を違う楽器で次々と弾いて聞き比べてもらおうという趣旨で、アメリカ民謡《森のくまさん》を南出氏の編曲で演奏します。こうすると楽器の持ち味や個性の違いがよく分かります。

今度は弓ではなく、指で弦を弾く方法(ピチカート奏法)を紹介してアンダーソン《プリンク・プランク・プルンク》を演奏。途中で楽器をくるくる回したりといった楽しい演出が盛り込まれた曲で、会場からも笑いが起こります。

ラジオ体操続いて、服部正《ラジオ体操第1》を弦楽五重奏編曲で。「舞台に上がって一緒に体操をしたい人はいますか?」と募ったところ、20人近い子どもたちが舞台に上がって並び、弦楽五重奏の伴奏でラジオ体操をしました。

妙技を見せる曲としてよく知られるリムスキー=コルサコフ《熊蜂は飛ぶ》を、ここでは弦楽5人で分け合って演奏。途中で大きな蜂が実際に登場する場面もあって、最後は丸めた楽譜で司会者に退治されてしまいます。

次のハイドリッヒ《ハッピバースデー変奏曲》では、まず今日がお誕生日というお子さんを舞台に上げて真ん中に座ってもらってテーマを演奏。その後、モーツァルト風、ウィンナ・ワルツ風、アメリカのジャズ風、タンゴ風、そしてハンガリー風と個性豊かな変奏を展開していきます。よく知っている旋律がいろんな装いで立ち現れてくるのは新鮮です。タンゴ風のところでは会場から自然に手拍子が起こりました。

前半の最後は、南出信一作の《動物数当て音楽クイズ》。モーツァルトの《フィガロの結婚》の中の有名なアリア〈もう飛ぶまいぞ、この蝶々〉の旋律を枠組みに、その間に〈ちょうちょ〉〈メリーさんの羊〉〈とんぼのめがね〉といった動物がテーマになった曲がたくさん織り込まれています。これらの歌を聞き取って、何種類の動物が出てくるかを当てるクイズです。正解者の中から抽選で6名に景品が当たるというので、みんな真剣に聞いて解答用紙に書き込んで寄せてくれました。

15分の休憩をはさんで、後半はシューベルト作曲のピアノ五重奏曲《鱒》より第4楽章。ピアノを含む各楽器の掛け合いが緊張感に満ちてスリリングで、聴き応えがありました。

次は日本の歌から、山田耕筰《赤とんぼ》と本居長世《通りゃんせ》を弦楽合奏でしっとりと聞かせます。

《山寺の和尚さん》でお客様に木魚のソリストを務めて頂きました服部良一《山寺の和尚さん》では、会場からお子さん一人に舞台に上がってもらって木魚を叩くソリストを務めてもらい、それに合わせて弦楽五重奏が演奏します。木魚が遅くなってくると合奏も次第に遅くなって、会場からはどよめきが起こります。会場と舞台が一つになっていることを強く実感させてくれた場面でした。

ここでピアソラの《リベルタンゴ》。一転して大人の雰囲気で、ぐっと聞かせます。そして《ディズニー・メドレー》。おなじみの楽しいメロディーにまた会場から手拍子が起こりました。

モンティ《チャルダッシュ》ではソリストの釋氏が客席後方から登場し、お客様に迫りながら演奏して大いに受けました。長い長い間合いと緩急自在のテンポの変化にもかかわらず、ピアノや他の楽器がぴったりとついていくのは見事でした。

プログラムの最後はモーツァルトの《トルコ行進曲》。本来はピアノのソロ曲ですが、ここでは南出信一編曲によるピアノ弦楽五重奏曲版が演奏されました。ひと味違ったすてきなトルコ行進曲で締めくくりとなりました。

さて、お待ちかねのクイズの正解と抽選会です。景品はかわいい縫いぐるみに、ジャンボ・パックのお菓子、それに神戸女学院のカレンダーです。何と、親子で抽選に当たったラッキーなご家族もありました。

最後に《となりのトトロ》より〈さんぽ〉を会場の皆様に歌って頂いてお開きとなりました。

終演後は恒例の楽器体験、今回はヴァイオリン、チェロとコントラバスの体験でしたが、司会の南出氏のお話しのおもしろさも手伝って、コントラバスが一番人気だったようです。

今回のコンサートは特にお客様の評価も高く、喜んで頂けた様子です。その一番の功労者は人選、選曲、編曲、そして司会までこなして下さった南出氏であり、またご出演の演奏者の皆さんです。

また受付や舞台裏のスタッフたちがゆったりと余裕をもって丁寧に役割を果たしている姿に、今昔の違い、そして近年のレヴェルアップをまざまざと感じました。

第19回 子どものためのクリスマス・コンサート

07クリスマス・コンサート12月8日(土)、本学講堂にて「子どものためのクリスマス・コンサート」(子どものためのコンサート・シリーズ第19回)を開催しました(第T部・11時〜、第U部・16時〜、来場1011名)。 「音楽によるアウトリーチ」既習生9名(卒業生)が出演。フルート、ピアノ、オルガン、歌による多彩なアンサンブルで「音楽のおくりもの」をお届けしました。

トーンチャイムの合図で開演。フルートが賛美歌を奏でる中、クリスマスの由来を映像と朗読で語ります。まずモーツァルト《教会ソナタ》をアンサンブルで演奏。コンサートは元気のないサンタさんを励ますために妖精たちが音楽をプレゼントするという物語仕立てです。妖精たちはカッチーニ《アヴェ・マリア》を独唱で、チャイコフスキー《くるみ割り人形》より〈マーチ〉〈トレパック〉をピアノ連弾で、フルート三重奏で〈あし笛のおどり〉、ピアノとフルートで〈花のワルツ〉と次々に演奏していきます。賛美歌《もろびとこぞりて》やキャロル《ベツレヘムまではいかほど》などクリスマスにちなむ曲、さらにポジティフオルガンとフルートでヘンデル《フルートと通奏低音のためのソナタ》を演奏しました。すると元気になったサンタさんが登場。会場の子どもたちもツリーの飾りつけを手伝ったり、《あわてんぼうのサンタクロース》や《ジングル・ベル》を大合唱。一緒に参加してもらうことで会場が一つになります。

終演後は恒例の体験コーナー。今回使った楽器(フルート、トーンチャイム、グロッケン、オルガン)や前回人気だったヴァイオリンを弾いてもらいました。子どもたちは楽器を手にうれしそうに音を出していました。

プログラムをクラシックの曲で物語仕立てにするのが難しかったのですが、皆で相談し、練習を重ねる毎に気持ちがひとつになって、本番は心をこめて演奏することができました。当日は不安もありましたが、温かい雰囲気の中で無事終えることができました。

終演後、お客さまから「クラシックが生で聴けるのがいい。親子で楽しめました」「子どものために工夫されたプログラムでよかった」「楽しかった、来年も来たい」と言って頂いてうれしかったです。また裏方のスタッフたちが一体となって支えてくれて、ひとつの演奏会の成功のためには、沢山の人の力や時間がかかっていると改めて気づきました。この経験を今後も生かしていきたいと思います。

第20回 スペシャル・コンサート〜コントラバスの魔術師 ゲーリー・カー登場!

ゲーリー・カーとハーモン・ルイス3月8日(土)、本学講堂にて「子どものためのスペシャル・コンサート 〜コントラバスの魔術師 ゲーリー・カー登場!」を開催しました(午後4時開演、来場550名)。
「子どものためのコンサート・シリーズ」の記念すべき第20回は、世界的なコントラバス独奏者ゲーリー・カーとピアニストのハーモン・ルイスをお迎えしてのコンサート(司会・コントラバス/南出信一、通訳/藤本しの)、このシリーズでコントラバスにスポットが当たるのは初めてです。
コンサートはゲーリー・カー氏の日本語のあいさつで幕を開けました(彼らは大の親日家で、ここ数年熱心に日本語を勉強しています)。

まずハーモン・ルイス氏のオルガン伴奏でブロッホ《ユダヤ人の生活より》から第一番〈祈り〉。決して子ども向きの曲ではありませんが、聴衆はカー氏独特の深い音色に一気に惹き込まれます。続いてボッテジーニ《タランテラ》。超絶技巧の難曲ですが、曲想にあわせてカー氏の表情も豊かに変化します。

コントラバスとパイプオルガン曲間には日本語も交えたユーモアたっぷりのカー氏のお話が入り、テンポのよい通訳(藤本しの氏)でコンサートが進められました。サン・サーンス《動物の謝肉祭》より〈白鳥〉では歌心にあふれる演奏に子どもたちも魅了されている様子。次にエックレス《ソナタ イ短調》より第1楽章と第4楽章。第4楽章ではアイマスクで目隠しをして演奏するなど、サービス満点の演出で聴衆を楽しませます。

ローレンツィーティ《ガヴォット》は、カー氏がこの曲に合わせて作った物語「ぞうさんとハエ」のお話をしながらの演奏。小さなハエが大きなぞうに恋をして最後に両想いになるという物語ですが、的確な通訳と子どもの目線に立った話術で楽しい時間となりました。次は雰囲気を一転して、クーセヴィツキー《悲しい歌》。最初と最後の悲しい旋律の部分では子どもたちに鼻をすする音で共演させますが、中間部では情感あふれる演奏に客席もぐっと集中していました。

コンサートは休憩なしに続けられます。会場からお子さんを1人選んでの楽器体験では、弓を握らせてカー氏が右手でサポート、左手で《きらきら星》の音を押さえてルイス氏の伴奏で演奏しました。続いて、南出信一本学非常勤講師とコントラバスの二重奏で、ゲーンズ《スケルツォ》、アイルランド民謡《ロンドンデリーの歌》、スコット・ジョプリン《エンターテイナー》の3曲を演奏。《スケルツォ》では曲想が変わったと思うところで手を挙げさせるなど、子どもたちを飽きさせない工夫が入ります。最後の曲はパガニーニ《ロッシーニの〈エジプトのモーゼ〉による変奏曲》。ヴァイオリンのために書かれた難曲でも、カー氏のコントラバスは軽やかに歌います。鮮やかなテクニックと、時折入る楽しい演出で華やかに締めくくりとなりました。

ここで質問コーナーです。子どもたちからの「何時間練習しますか?」「他の楽器も演奏できますか?」などの質問に全て日本語で答えて下さって会場は大いに盛り上がりました。会場の2人のお子さんから出演のお2人に花束贈呈のコーナーも設け、最後にアンコールとして中田章《早春賦》が演奏されてコンサート終了となりました。

終演後の楽器体験は、ヴァイオリンとチェロ、コントラバスの三種。スタッフの指導で音を出してみる子どもたちの目はキラキラしています。ヴァイオリンは子どもの体にあった分数楽器を取り入れたので、無理なく構えて体験してもらうことができました。

今回、カー氏の「客席の反応をみてその場で臨機応変に演奏曲目を選びたい」との意向により当日配布のパンフレットには曲目を掲載せず、演奏が始まったらその都度確認しながらプロジェクターで会場の壁に曲目を映し出すという形を採りました。プログラムはリサイタル並の本格的なものでしたが、随所に子どもたちを楽しませる演出が盛り込まれていました。

カナダ在住のお二人の来日にあわせて急遽開催が決まったコンサートでしたが、広報開始からわずか二週間で定員を超えるお申し込みを頂くなど、大きな反響を呼びました。カナダやアメリカではもう二十年以上も子ども向けのコンサートを続けてこられたそうですが、日本で公式に行うのは今回が初めてとのこと。終演後、カー氏は「日本の子どもたちの反応がすばらしく、舞台と客席が一体になれたことに驚いた、大変うれしい」と喜んでいました。お客様からも「子どもを惹きつけるキャラクター、お話やアイディアがすばらしい」「一つ一つの音がとても響いてきれい」「コントラバスのことがよく分かった」「子どもたちは音楽の楽しさを体験できて、大人も楽しめる素晴らしい企画」などの感想を頂きました。

今回のゲーリー・カー氏招聘に当たってご協力頂いた方々に厚く御礼申し上げます。