総合文化学科

卒業論文でルワンダを現地調査

- 「巻き込む力」を社会でも活かしたい -

株式会社ジェイエア(総合職)内定 4年生 上垣さん

文学部総合文化学科で国際関係論を学んだ上垣さんは、幼い頃から世界に関心を持ち続け、アフリカ・ルワンダで暮らす女性をテーマに卒業論文を執筆しました。周りの人々からの支援を受けることで在学中にルワンダへの渡航を実現させた上垣さんに、大学生活を振り返ってもらいました。
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マザー・テレサに憧れ、ルワンダに関心を抱いた幼少期

世界のことに関心を持つようになったのは、幼稚園から小中高、神戸女学院大学まで一貫してキリスト教の学校に通っていたことが理由だと思います。信仰を持ってはいないのですが、カトリック・プロテスタント問わずキリスト教系の学校では、いつも礼拝のときに先生方が世の中のことを話してくださいました。自分たちは日本で不自由のない暮らしをしているけれど、世界に目を向けると、毎日の食べるものにも事欠く人たちや、学校に通えない子どもたちがたくさんいる。そういう人々を助けるための活動をずっと続けている、マザー・テレサという方がいることも知って、幼心に「自分も大人になったら、困っている人を助けたい」と思うようになりました。
京都聖母学院小学校の3年生からは、ルワンダレスキュー隊というボランティア組織で、募金を集めてルワンダに義足や車椅子を贈る活動に参加しました。ルワンダは近年アフリカの中でも非常に経済発展している国として知られていますが、1990年から1993年にかけて内戦が起きて多くの方が犠牲となりました。手足を失った多くの人に義足を贈る活動を続けているルダシングワ真美さん夫妻を、そのボランティア組織でサポートしていました。このときの活動がきっかけとなり、ルワンダをテーマに卒業論文を執筆することになりました。

国際関係論の基礎である宗教と歴史を学ぶ

国際社会で起きていることについて、ニュースや新聞を通じて関心を持つようになった私は、中学高校でもボランティア活動に積極的に参加するようになりました。そうした中で、「人が苦しむことなく平等に暮らすためには、その原因を知ることが必要だ」と考え。高校生の時に2度参加した模擬国連では「ジェンダーと人権」「難民」をテーマに議論、同年代の学生の知識に圧倒されながらも学びへの意欲が高まりました。神戸女学院大学の総合文化学科に進学したのも、国際関係論のゼミがあったのが理由です。
入学後は、1年生から国際関係論のゼミに入ることを視野に入れながら、それに役立つ勉強を続けました。そのなかでも重要な学びとなったのが「宗教学」の授業です。宗教学は、学長・チャプレンの中野敬一先生が自ら教壇に立って教えてくださいました。キリスト教については幼い頃から親しんでいましたが、ユダヤ教やイスラム教、それ以外の宗教についてはこの授業で初めて、しっかりと学べました。世界の紛争の背景には、宗教間の対立があることが多く、今のイスラエル・パレスチナ紛争や、ロシアのウクライナ侵攻について理解するうえでも、それぞれの宗教的な歴史を知ることが必要です。昔から歴史の本が好きでよく読んでいたのですが、大学2年生からはヨーロッパ史、アジア史、日本史などの歴史学の授業も履修しました。その中でヨーロッパの神話や魔女の歴史、ハロウィンやクリスマス、バレンタインなどの宗教行事の起源についても学び、世界に対する理解を深めることができました。

ルワンダ渡航前に得られたサポート

前述のように私は、小学生のときからルワンダの人たちに義足を贈るボランティアに携わっており、ルワンダに対する思いがずっと心にありました。ルワンダは今「大虐殺の歴史を乗り越え、女性の社会進出が目覚ましい、アフリカの中でも美しく安全な国」というイメージが持たれています。しかし現地に住む方の実態を調べ、ルワンダの研究者たちの論文を読むうちに「それは思い込みにすぎないかもしれない」と考えるようになりました。授業でジェンダーについて学んだこともあり、ルワンダの女性たちの実態について、現地に行き、自分の目で見て調査しようと決めたのです。
渡航の前には、さまざまな準備をしました。知識を得るため、京都大学でルワンダのことを研究する先生にメールを送って質問すると、とても丁寧な返信をいただき「参考にしてください」と先生の研究論文を送ってくださいました。またルワンダレスキュー隊との出会いを与えてくれた母校、京都聖母学院小学校の先生方にも、たいへんお世話になりました。ルワンダは農村部だけではなく都市部に住む子どもたちも貧しく、自分の鉛筆すら持っていないということを知りました。そこでルワンダの子どもたちに鉛筆を寄付したいと考えていること、今のルワンダレスキュー隊に参加する子どもたちにも、100円募金と鉛筆の寄付を呼びかけたいこと、をお願いしたところ、快く協力いただけました。

私はまだ、その先を知らない。

そうした準備をして2023年3月、日本から30時間かけてルワンダに渡航し、10日間滞在しました。首都キガリにあるキセキというグループとキガリ郊外にある農村などで現地の方に話を聞き、実際の暮らしぶりを教えてもらったのです。田舎から都市部に出てきたものの仕事がなくスラムで暮らすことになってしまった女性や、昔ながらの生活を続けている女性たちも沢山いることを知って、現地調査をすることの大切さを実感しました。最終的に「女性の社会的地位の向上への取り組みと課題―ルワンダを事例に―」をテーマに卒業論文を執筆しました。私一人の卒業論文のために、たくさんの方々が協力してくださったことが本当にありがたく、大学生活を通じても大きな思い出となりました。
4月から、JALグループで大阪国際(伊丹)空港を拠点に国内線を運航する株式会社ジェイエアで総合職として働く予定です。ジェイエアは「日本を広く細やかにつなぐ翼として、地域の活性化と航空業界の発展に全力を尽くすこと」をモットーとする航空会社です。人や物資をお届けすることはもちろん、「空の市」という就航各地の特産品を集めた空港マルシェや子ども向けの航空教室などを開催しています。そのような活動も含めさまざまなかたちで地域に貢献できる仕事がしたいと思って志望しました。社会人になってからも、卒業論文のルワンダ渡航で培った「周りを巻き込む力」を活かして、社内外問わずにさまざまな方とのつながりを大切に、仕事に邁進していきたいと思っています。

Profile

総合文化学科
4年生 上垣さん 株式会社ジェイエア(総合職)内定

私立清教学園高校卒業。2020年文学部総合文化学科に入学し、3年生からは北川将之先生のゼミに所属して国際関係論を学ぶ。学外の活動では奈良県の弓道連盟に所属し、自分の親・祖父母世代の方々とも交流を深めている。