
国際問題を学び社会貢献をめざしたい
- 南アフリカ研修で世界の課題が「自分事」に -
- 在学生
- 3年生 長塩さん
世界の貧困問題やアフリカ地域に高い関心を持つ文学部英文学科3年生の長塩さん。日本語教師養成課程や通訳・翻訳プログラムを受講しながら、国際交流活動にも力を入れています。在学中に訪れたアジアやアフリカでは、どんな体験をしたのでしょうか。
始まりはアフリカの子どもたちとの出会い
小学4年生の時、地元の岡山にウガンダの子ども合唱団が来日。貧困など逆境に負けず明るく歌う彼らの笑顔に感動し、世界の貧困問題やアフリカ地域に関心を持つようになりました。中高生時代には、国際姉妹都市から訪れる外国人訪問団とのふれあいや、カンボジアの高校生をホームステイで受け入れるなど、国際交流の機会がさらに増え、もっと英語力を伸ばしたい、視野を広げたいという気持ちが強まっていきました。
神戸女学院大学の英文学科には、英語で多様な分野を学べるカリキュラムがあり、語学力を高めながら未知の自分に出会って可能性を広げていけるのではと期待がふくらみました。あわせて日本語学を学んで日本語教師の資格も取得したいと思っていたため、その養成課程があったことも選んだ理由です。
入学してみてすぐに感じたのは、少人数クラスならではの先生との距離の近さ。一人ひとりの意見を細かく聞いてもらえてコミュニケーションが取りやすく、レポートにも細かくフィードバックしてくださるので、日々の勉強のモチベーションも上がりました。

日本語教師養成課程と通訳・翻訳プログラムを受講
日本語教師養成課程では、留学生・生活者・ビジネスパーソンなどさまざまな学習者に合わせた指導を考え、実際に教壇に立って模擬演習授業を行います。場面に適した日本語を使えるように日本文化を教えることも。通訳・翻訳プログラムも受講しているのですが、どちらも相手の立場に立って考え、どんな表現をすれば伝わりやすいかを重視する点が共通しているのが面白いです。両方の学びの相乗効果も大きいと思います。
全学生が履修できる「Contemporary Global Issues」の授業では、平和・紛争・暴力などをキーワードに、気になるニュースを持ち寄ってディスカッションしたり、ペットや飼い主の立場に扮したロールプレイで動物愛護について考えたりと、さまざまな方法で平和学を学びました。学科や学年の枠を超える授業で色々な考え方にふれ、視野もぐんと拡大。いつでも自分の意見を述べられるように意識することで、課題発見力も鍛えられました。

南アフリカ研修で実感した「本物にふれる」大切さ
大学では、国際交流を目的とするサークルI.S.A.(日本国際学生協会)に所属し、そのプロジェクトで2年次にフィリピン、3年次にベトナムを訪問しました。マングローブの植林や小学校のフェンス作りといったボランティア活動、現地の学生との文化交流活動などを企画。プロジェクトの実行委員長や日本人学生の団長も務めました。
3年次には大学のフィールド・スタディで南アフリカ研修に参加。もともと国際問題に興味を持つきっかけになったアフリカ地域を実際に訪れることができ、感慨深かったです。高層ビル群とスラム街が隣り合う風景が物語る格差の大きさ、アパルトヘイトの歴史や難民の現状を目の当たりにして、心が揺さぶられました。
現地を訪れ、自分の目で真実を確かめたからこそ、さまざまな問題を他人事ではなく自分事として認識できるように。まさに「百聞は一見にしかず」と本物を知ることの重要性をあらためて実感しました。神戸女学院ではさまざまな「本物にふれる学び」が提供されているので、今後もできる限り本物の体験を求めていきたいと思っています。

私はまだ目指す先に広がる景色を知らない
ゼミでの研究テーマはこれから決めるところですが、方向性としては、南アフリカでの体験も活かして奴隷貿易時代の黒人奴隷に焦点を当てながら、強制労働や児童労働など「現代の奴隷」に通じる課題に取り組んでいきたいです。女性や子ども、被差別者など立場の弱い人々に目を向けて、少しでも何かの形で社会に貢献できるような研究ができればと思っています。
大学では、もともと自分の強みだった行動力や積極性をいかしながら、物事を多角的に捉えること、現状や常識に疑問を抱いて考えること、自分の意見を人前やチームで表現していくことを学びました。さらに海外でのプロジェクトや研修は、多様な価値観や背景をもつ人たちと力をあわせ柔軟に連携し、チーム内の意見調整や役割分担を行ったり、リーダーシップを養ったりする場にもなりました。
将来の方向性もまだ迷いはありますが、できれば貿易や国際物流関連のグローバルな仕事に就きたいと考えています。特にアフリカ地域や東南アジアに関連する分野で活躍するのが夢。海外駐在で英語や現地の言語を使いながら新しいことを成し遂げてみたいです。

Profile
- グローバル・スタディーズ学科
- 3年生 長塩さん
岡山県立岡山城東高等学校卒業。2022年に文学部英文学科に入学。国立民族学博物館での異文化体験、各分野で活躍する卒業生や活動家の体験談を直接聞ける特別講義など、本物にふれる学びの機会を大切にしている。留学生との交流にも積極的に取り組んでいる。