
挑戦することで可能性は無限に広がる
- 環境の専門家から教育関連まで多彩なキャリアを開拓 -
- 卒業生
- 神戸大学 大学教育推進機構みらい開拓人材育成センター 特命助教 髙比良さん
環境保全に関心を持ち大学で植物生態学を学んだ髙比良さん。地域と公園をつなぐパークコーディネーターや自然学習指導員、環境コンサルタントなど、自然環境に関わる様々な仕事に従事。海外駐在を経て帰国後は教育・研究関連の仕事に特化し、新たな領域にチャレンジし続けています。
ヴォーリズ建築の研究室での贅沢な学び
高校生の時から、自然環境保全活動に関する仕事に就くのが夢。環境について学べる大学を探し、ちょうどできたばかりの人間科学部の環境科学専攻(環境・バイオサイエンス学科の前身)に入学しました。大学での授業も、親元を離れての一人暮らしも、私にとって簡単ではありませんでしたが、知りたいことを学べる喜びと新たな生活に夢中になり、あっという間に時間が経つ毎日でした。
所属したのは植物生態学の野嵜玲児先生のゼミです。研究室はエッジウッド館にあり、重要文化財のヴォーリズ建築の一室でのゼミはとても贅沢な時間でした。桜の大木や芝生の庭に迎えられ、アーチ型のエントランスや木の扉が美しく、先生の自宅に招かれて学んでいるような気分に。みんなで誕生日やクリスマスをお祝いしたことも楽しい思い出です。
卒業研究では、滋賀県朽木村の森林、アカマツ二次林を研究。フィールド調査のための山歩きはハードでしたが、野嵜先生から自然の素晴らしさや保全の大切さを教えていただき、仲間たちとともに素晴らしい時間を過ごしました。

学内外の様々なプログラムや活動にチャレンジ
自然環境保護に関する専門知識をさらに深めようと、大学の授業と並行して、1年生の時から植生学会、生態学会、野草環境教育研究会、博物館などが主催するプログラムに参加しました。2年生の夏休みには、熱帯雨林植物の植樹プロジェクトに参加するためマレーシア・ボルネオ島を来訪。広大な熱帯雨林が伐採され、赤土が露出した荒地になっている現場を目の当たりにし、自然保護の重要性を痛感しました。
英語の勉強も学生時代に力を入れたことの一つです。クラブ活動ではEnglish Drama Club に所属して、シナリオコンテストやミュージカル、English Drama Festivalなどに参加しました。中高生時代には英語のスピーチコンテストに出場したことも。自分の興味を追求し積極的に様々な活動に参加した経験が、現在に至る糧になっています。

環境保護活動から海外駐在を経て教育の現場へ
大学卒業後、神戸大学大学院を経て様々な仕事に携わってきました。兵庫県立有馬富士公園で県下初のパークコーディネーター、有馬富士自然学習センターの自然学習指導員を務め、市民参加による公園づくりのコーディネートや環境学習の普及に従事。「市民による公園づくり」という民官学連携プロジェクトは全国的に注目を集め、日々苦労もありましたが、とても貴重な経験となりました。その後、株式会社里と水辺研究所に所属し、環境コンサルタントとして活動。さらに夫の赴任に同行してボルネオ島に駐在し、多様な文化を持つ人々と交流しながら、熱帯生物研究所での研究活動にも関わりました。
帰国後は子育てのかたわら、公立小学校で理科支援員や英語指導員、学びの指導員として教育現場に身を置き、これまでとは違う視点から、教育の素晴らしさと難しさの両面を知りました。そして、神戸女学院大学人間科学部健康科学研究室の教学職員に転職。生命科学分野の研究に参加し、大学教育にも携わって、たとえ未経験の分野でも挑戦することが自分の可能性を広げてくれると強く実感しました。

私はまだ、ゴールを知らない
現在の職場は、未来を担う極めて優秀な人材の育成を目的に設立された神戸大学の全学研究機関の一つです。私はアドミッション部門にて、特に海外大学との交流や広報に関することを担当しています。その他、特別選抜入試制度や小中高大接続プログラム、国内の入試広報などにも取り組んでいます。研究や広報、教育、海外駐在など、これまで積み重ねてきた経験を活かすことができ、すべてが今の自分につながっていると感じます。
自分や友人の歩みを振り返ると、日本の社会はまだまだ女性にとってハードルが高い側面もあると感じます。たとえブランクがあっても希望の職場への復帰や再就職が可能で、子育てと仕事を両立できるような環境がもっと広がっていってほしい。女性がやりたいことをしていきいきと輝き、多様な生き方や価値観を認めあえる社会が理想です。そんな未来に向けて、一度きりの人生を後悔なく生きるため、興味のあることに挑戦し続け、何事もあきらめずに取り組みたい。これからも失敗を恐れず、ゴールを探しながら進んでいきます。

Profile
- 人間科学科
- 髙比良さん 神戸大学 大学教育推進機構みらい開拓人材育成センター 特命助教
1999年、神戸女学院大学人間科学部人間科学科環境科学専攻(環境・バイオサイエンス学科の前身)卒業。神戸大学大学院を経て、様々な経験を重ね、環境保護や教育など持続可能な未来に貢献する仕事に携わる。学生時代のお気に入りの場所はヴォーリズ建築の図書館本館。よく読書や勉強をしながら過ごしたそう。