音楽学科

音楽の都でヴィオラを奏でる幸せ

- 楽団員として活躍しながら技と表現を追究 -

ウィーン・フォルクスオーパー
ヴィオラ奏者
秋田さん

ヴァイオリンから、大学時代に出会ったヴィオラの奏者に転向した秋田さん。音楽の都と呼ばれるオーストリア・ウィーンにある歌劇場のオーケストラに所属し、正規団員として活躍中です。学生時代から留学を経て現在に至る歩みとともに、演奏家としてのやりがいやこれからについても語っていただきました。

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音楽のみならず幅広い学びを得た4年間

5歳の頃からヴァイオリンを始め、ずっと趣味程度に弾いてましたが、高校2年生の時に市民オーケストラに入って、「大勢で一つの音楽を作り上げるのって楽しい!」と実感。もっと専門的に学びたいという気持ちが高まり、中高から通っていた神戸女学院の音楽学部に進学しようと決めました。進路を変更するには遅いタイミングだったので、ヴァイオリンの先生や両親には驚かれましたね。
卒業して10数年経つ今になって振り返ってみると、ここを選んで本当に良かったと思います。在学中は何気なく過ごしていた岡田山の美しいキャンパスでの日々は、私の中でかけがえのない大切な思い出になっています。
音楽だけにとどまらずリベラルアーツの多様な学びを得られたのも、神戸女学院が音楽の単科大学ではなく総合大学だったから。論理学、文系のための科学、西洋美術史、表象文化論…どの授業もとても興味深くて面白かったです。幅広い分野の教養を吸収したり、他学部の友人と交流したりする中で、視野を広げ、人間性を深めることができたように思います。

ヴィオラに出会い、より深い音楽表現を追究

ヴァイオリン専攻で入学したのですが、音楽を志すのが遅かったぶん、同級生たちに少しでも追いつこうと、練習に明け暮れていました。そんな中で2年生の時にヴィオラにふれ、深い味わいのある音色に魅了されました。ヴァイオリンを弾く時はどうしても演奏技術にとらわれがちだったけれど、ヴィオラでは音楽面に集中でき、音色や表現方法が自分の中からあふれ出るように感じました。
3年生からはSecond Majorとしてヴィオラを選び、主専攻のヴァイオリンと同じだけレッスンを受けることができました。授業でも一人ひとりがたっぷりと時間をかけて練習でき、学内外での演奏機会も多く設けられているのは、少人数教育ならではの良さだと思います。佐々由佳里先生の室内楽の授業で、アンサンブルの楽しさにも目覚めました。今もソロ、オーケストラと並んで室内楽の演奏をとても大切にしています。
練習の一方で、アルバイトにも力を入れ、三宮のクラシックライブハウスでスタッフとして働くかたわら、時折演奏も行っていました。プロの演奏家の方々とつながりができ、大いに刺激を受けて、得るものが大きかったです。

ウィーン留学を経て現地のオーケストラへ

4年生の夏、大学から推薦を受け、ウィーン国際音楽ゼミナールに参加。日本とは異なる音楽の楽しみ方に感銘を受けて留学を決意しました。大学卒業の翌年から、ウィーン市立音楽芸術大学の修士課程へ。言葉や現地の風土になかなかなじめず苦労しながらも、ヴィオラの練習に打ち込み、夢中で2年半を過ごしました。実はオーストリア訛りのドイツ語にはかなり苦戦し、細かい意思疎通や電話での会話なども不安なくできるようになったのはつい最近のことです。でも英語教育に力を入れる神戸女学院で基本的な英語力は身についていたので、海外生活でもずいぶん助かりました。
大学の修了試験を終えると同時に、ウィーン放送交響楽団のアカデミー生オーディションに合格。有名な指揮者やソリストとともに、ザルツブルク音楽祭でも演奏したり、現代を代表する音楽家達の作品を演奏したりと、これまでにない貴重な経験をたくさん積むことができました。さらに、ミスせず正確に弾くだけでなく、自分の判断を信じて積極的な表現ができるようになるなど、演奏家としても大きく成長できたように思います。

私はまだ、演奏家としての極みを知らない

3年半のアカデミー生期間が終わる頃、団員や先生からの勧めもあり、ウィーンのオーケストラで演奏したいと考えるようになりました。いくつかオーディションを受けた中で、フォルクスオーパーに合格。フォルクスオーパーは、ウィーンで2番目に大きな歌劇場で、オペラやオペレッタ、ミュージカル、バレエ、室内楽など幅広い演目の公演が毎日行われています。
入団当初は、めくってもめくっても終わらない分厚い楽譜や、何時間もある演目に慣れるのが大変でしたが、毎日の勤務をこなすうちに、集中して演奏することができるようになりました。モーツァルトの『魔笛』やシュトラウスの『こうもり』などの有名な作品を本場で演奏できる喜びをかみしめています。うちのオーケストラはメンバーも音楽もどこか大らかで、職場としてもとても居心地がいいんですよ。
キャリアとともに基本的な演奏技術もある程度身に付いてきた今、これからはいかに自分で課題を見つけて向上していくかが大切だと思っています。たとえば、楽譜の内容を完璧にこなし、指揮者の指示に的確に対応し、首席奏者の間違いさえカバーできる…。そんなベテラン職人のような団員をめざしながら、ソロや室内楽でも自分らしく活躍していくのが今後の目標です。

Profile

音楽学科
秋田さん ウィーン・フォルクスオーパー
ヴィオラ奏者

神戸女学院中学部・高等学部を経て2012年3月、神戸女学院大学音楽学部音楽学科器楽専攻ヴァイオリン卒業。Second Majorヴィオラ修了。ウィーン市立音楽芸術大学修士課程ヴィオラ専攻卒業。2016年から3年半にわたってウィーン放送交響楽団アカデミー生として活動後、2019年にウィーン・フォルクスオーパーへ入団。団員としてキャリアを積みながらソロや室内楽の分野でも演奏活動を行っている。