音楽学科

芸術をもっと身近なものに

- 若者が芸術に触れられる土台づくり -

株式会社梅田芸術劇場勤務 松井さん

音楽学科での4年間は、授業、レッスン、練習で大忙しだったという松井さん。他学部の授業でも、興味をもったものは積極的に受講していたそうです。「いろいろな授業を受けたことで、人生の可能性が開けました」と語る彼女に、学生時代から今に至るまでの道のりをお話してもらいました。

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専門性を高めながら、音楽以外の世界にも触れる

高校時代に、授業の一環として演劇を鑑賞したことがありました。私は子どもの頃からときどき劇場に行く機会があったのですが、そうでない友達も多く、生の舞台にすごく感動していたんです。その様子を見て、「将来は音楽の先生になって、生徒が芸術に触れられる機会をつくりたい」と思うようになりました。
進学先は教育系にするか芸術系にするかで悩みましたが、入学前に音楽学科の教授である松本 薫平先生のレッスンを受ける機会があり、「この先生のもとでもっと学びたい」という思いから入学を決意。今になって振り返ると、声楽を専門的に学びながら、他学部の授業や友達を通じて音楽以外の世界も知ることもできたので、総合大学である神戸女学院大学を選んでよかったと思います。高校まではずっと共学だったので女子大に馴染めるのかは少し不安でしたが、すぐに打ち解けられて友達もたくさんできました。

学生ひとりひとりに合わせた教育

神戸女学院大学の魅力は、やはり少人数教育にあると思います。声楽の先生はもちろん、ほかの専攻の先生方も、学生ひとりひとりのことをいつも気にかけてくださっていました。
また声楽に役立てばと思い、イタリア語、ドイツ語、フランス語の授業を受けていたのですが、授業後に先生がレッスンで歌う曲の発音練習に付き合ってくださったこともあります。
さらに同級生みんなと仲良くなれるのも、少人数の学部ならでは。お互いのことを、4年間かけて理解し合うことができました。みんなで協力しながらクリスマス礼拝の聖歌隊や定期演奏会の練習に打ち込んだことは、とてもいい思い出です。卒業した今でもこまめに連絡を取り合っており、誰かが演奏会に出るときにはみんなで駆けつけたりもしています。

アートマネジメントの授業が仕事の原点に

4年間を通してとくに印象に残っているのは、アートマネジメントの授業を受けたことです。関西の公共ホールを巡って、それぞれの劇場の特徴や地域との結びつき、経済的な課題などについて学びました。音の反響ひとつとっても、ホールによってまったく違うことに驚いたのを覚えています。この授業がきっかけで、芸術、経済、地域の結びつきに興味をもつようになりました。
卒業後は音楽の先生になるつもりだったのですが、教育実習に行ってみて、学校よりも広い世界で仕事をしてみたいと思うように。就職活動を始めるには遅い時期だったのですが、たまたま見ていたウェブサイトで梅田芸術劇場が新入社員を募集していることを知り、応募してみることにしました。アートマネジメントの授業を受けていなければ、この仕事に就くことはなかったかもしれません。

私はまだ、劇場のすべてを知らない。

今は劇場営業部という部署で、各公演のチケット販売に関わり、ファンクラブ・事務所等との調整を行なっています。地道な作業が中心ですが、ミスをすると公演全体に影響するので責任は重大。ちょっとした采配によってチケットの売れ行きが変わることもあるので、やりがいを感じます。将来的には営業、制作、広報など、すべての部署を経験しながら、劇場のなかをもっと見ていきたいです。
そしていつかは、若い人たちの芸術の土台づくりに携わるのが目標。この夢は、「音楽の先生になりたい」と思っていた高校時代から変わっていません。「生活の一部」といわれるくらい、多くの人にとって芸術が身近なものになるように、力を尽くしたいと考えています。

Profile

音楽学科
松井さん 株式会社梅田芸術劇場勤務

京都府立洛西高校を卒業後、2013年4月に神戸女学院大学音楽学部音楽学科 声楽専攻入学。在学中、恩師である松本薫平先生の公演『蝶々夫人』にアンサンブルとして出演し、プロの舞台の厳しさを体感したとのこと。2017年3月に卒業し、株式会社梅田芸術劇場に入社。神戸フォーレ協会会員。