環境・バイオサイエンス学科

花咲く未来に向けてタネを蒔く日々

- 文系から理系の道へ進む -

アズワン株式会社勤務 木本さん

「大学時代は今まで生きてきたなかで一番勉強した4年間だった」という木本さん。今でも、キャンパスのさまざまな風景を思い出しては懐かしくなるそうです。
友達と一緒に研究に打ち込んだ日々を振り返ってもらいました。

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食について研究するために、文系から理系へ

私が通っていた高校では、1年生で文系・理系が分かれていました。当時はなんとなく文系コースを選択したのですが、進学先を考える段階になって、自分が本当に興味を持っているのは食に関することだと気づいたんです。ただ、理系の学部は単位の関係で受験資格さえないところがほとんどで、あきらめて別の道を考え始めていました。
そんなときに知ったのが、神戸女学院大学の環境・バイオサイエンス学科。文系の学生でも受験することができるうえに、食について科学的に深く掘り下げて研究ができそうな点に魅力を感じ、入学を決意しました。
理系の科目にはあまり触れてこなかったので不安もありましたが、文系出身の学生を対象にしたフォローアップのカリキュラムが組まれていることを知ってすぐに安心。理系科目は得意ではありませんでしたが、少人数の学科ということもあり、先生方がいつも気にかけフォローしてくださいました。本当にやりたいことを諦めなくてよかったと、今でも思います。

研究も仕事も、よりよい方法を模索するプロセスは同じ

学生生活の思い出は、なんといっても研究に打ち込んだことです。卒業論文のテーマは、鶏肉に含まれるアミノ酸化合物「ペプチド」。血圧を下げる効果が知られていますが、その効果をさらに高めるためにはどのような構造に変化させるのが最適かを探求しました。
研究チームは私を含め3人で、3・4年生のときには実験のために毎日一緒でした。長い時間を共有するなかで家族のような絆が芽生えたことは、私にとってかけがえのない思い出。結果が出るたびに「どうしてこうなったんだろう」と意見を出し合いました。
そんな私たちをいつも見守ってくださったのが、ゼミの先生です。直接答えを教えるのではなく、私たちがより深く考え、自分たちで結論を見つけられるように導いてくださいました。
今の仕事は研究職ではありませんが、実験して、その結果を考察し、次にどうするかを考えるというプロセスは変わりません。大学時代と同じように、仕事でも常に結果から学び、よりよい方法を模索するように心がけています。

自然豊かなキャンパスが大好きだった

両親にも感心されるほど、大学に通い詰めた4年間。それは受けたい授業、やってみたい実験がたくさんあったからですが、キャンパスの雰囲気がとても好きだったことも、理由のひとつだと思います。
街中で育った私にとって、自然豊かな環境はまるでオアシスのようでした。春の桜、夏の緑、秋の紅葉と、四季折々に移り変わる風景。実験が行き詰ってしまったとき、研究室から出て新鮮な空気を吸ったとたんに、ひらめきを得たこともありました。藤棚の下で研究チームの友達とお弁当を食べながら議論をしたり、チャペルや図書館でゆっくりとした時間を過ごしたり。
心が落ち着くすばらしい環境が、学びの支えになっていたと思います。

私はまだ、どんな花が咲くか知らない

現在は理化学機器の専門商社で、研究用の試薬を扱っています。社内でも新しく立ち上げられた事業なので、前例がないことばかり。戸惑うこともありますが、理系の学部に飛び込んだときのように、「思い切ってやってみよう」という気持ちを失わないようにしています。
必要としている人のもとに試薬が届くよう、さまざまな方法で情報を発信する今の仕事は、たとえるならば何もない土地に花のタネを蒔くようなもの。研究には時間がかかるので、私たちが世に出した試薬がこれからの社会にどのような影響を与えるのかは、まだわかりません。大きくて美しい花が咲くのか、小さな花が咲くのか。もしかしたら、何も咲かないということもありえます。
でも今の私にできるのは、とにかくたくさんのタネをまき続けることだけ。よりよい未来につながることを信じて、これからも地道に取り組んでいきます。

Profile

環境・バイオサイエンス学科
木本さん アズワン株式会社勤務

2012年 3月、人間科学部 環境・バイオサイエンス学科を卒業。学生時代は勉学に打ち込むほか、料理研究会にも所属していた。卒業後はアズワン株式会社に入社。試薬を取り扱う上で化学式を見ることもあり、研究で身につけた知識が役立っているそう。