学びも体験も、伝えるための糧になる
- 無駄なことも失敗も、プラスに繋げていける力を -
- 卒業生
- テレビ神奈川勤務 岡村さん
長年のアナウンサーへの夢を叶え、報道やスポーツはもちろん、バラエティーなど、さまざまなジャンルの番組で活躍する岡村さん。常に大きな緊張感の中でパフォーマンスを発揮する彼女が、今、あらためて思うのは、無駄なことはひとつもない、ということ。どんな経験もプラスに変え、好奇心を失うことなく「伝える」ということに誠心誠意で向き合う彼女に、お話をうかがいました。
勉強の概念を変え、広く深い学びへと導いてくれた先生の存在
高校時代から、漠然とアナウンサーという職業に興味を持っていた私にとって、何人ものアナウンサーを輩出している神戸女学院は、まさに憧れの場所でした。そして、幅広い知識や教養を身に付けたいという思いで志望したのは総合文化学科。大学はもちろん勉強するところではあるのですが、机に向かって勉強したという印象があまりないのは、高校時代の勉強とは少しちがって、好奇心を広く、そして深く突き詰めることができたからかもしれません。
そんなふうに学ぶことができたのは、先生方の存在が大きかった気がしています。知識を押し付けるのではなく、私の興味に向き合ってくださって、そっと手を差し伸べるように、深い学びへと誘導していただいた感覚があります。社会に出てから役に立つからと、メールの打ち方から論理立てた文章の書き方まで、根気よく熱心にご指導いただいたことも、今あらためて感謝していることのひとつです。
新聞部の活動が、「伝えること」のおもしろさを教えてくれた
大学時代は、関西学生報道連盟というインカレの新聞部に所属し、学内新聞を作成していました。もともとは大の阪神ファンで、何か野球に携わることをしたいと思ったことが入部のきっかけだったのですが、野球に限らずさまざまな分野の方にお話しをお聞きするうちに、伝えることそのもののおもしろさに魅せられていきました。
新聞部の活動でもさまざまなことを学ぶことができました。取材させていただいた方のお話をわかりやすく文章にまとめることは、やってみるとなかなか難しく、読み手のことを考えながら言葉を選んでいくことや、より伝わりやすい文脈を構築することの重要さを学びました。そして、取材をする際には、相手の方に失礼のないように、お聞きしたい内容について自分なりに事前に勉強をすることを心がけていました。この取材前に準備をする癖は、アナウンサーの仕事にも生かされています。新聞部の活動で、伝えるおもしろさを知ったことが、夢への気持ちを一層強くしてくれました。
学びも経験も、成功も失敗すらも、ひとつも無駄にならない
現在、私は、神奈川のテレビ局のアナウンサーとしてお仕事をさせていただいていて、週4回はお昼の生番組も担当させていただいています。実際に憧れの仕事に就いてみると、華やかなイメージとは少しちがって、地味な作業が8割から9割。視聴者のみなさんの目に映るのはほんの一部で、原稿の読みを確認したり、フリートークの内容を考えたり、スポーツ中継に関わる選手の名前や情報をリスト化して覚えたりと、まさに新聞部時代に経験していた「準備」に多くの時間を費やしています。その準備をどこまでするかは自分次第ですし、全てが直接的に役に立つとは限りません。でも、インタビューでいいコメントを引き出すことができたときや、フリートークでの反応がよかったときなど、わずかでも報われた瞬間に、「やっていてよかった」とその膨大な準備の全てを肯定することができるのです。
また、この仕事は、大学で学んできたことも体験も、無駄なく生かすことができる仕事だと感じています。成功だけではなく失敗すらも「おいしい!」と思えるのは、関西人ならではかもしれませんが、全部をプラスに変える力が自然と備わっていることは、私にとってささやかな誇りです。
わたしはまだ、「人」を知らない
仕事でもプライベートでも、人と対峙することで見えてくるものは、とても多いと感じています。知らないことを知ることができたり、新しい発見をすることができたり、自分の知識のなさを痛感することもあります。また、人と話すことで自分自身を理解することもありますし、人との出会いが自分を変えてくれることもあります。実際私は、神戸女学院でお世話になった先生方と出会ったことによって世界がぐっと広がりましたし、前向きで芯の通った友人たちのおかげで思考がポジティブになりました。それほどに、誰かと出会うことは大きなこと。だから、一生をかけて、もっと人を知りたいし、たくさんの方と出会いたいのです。
Profile
- 総合文化学科
- 岡村さん テレビ神奈川勤務
2013年3月、文学部 総合文化学科卒業。現在は、株式会社テレビ神奈川に勤務し、アナウンサーとして、報道・スポーツ・バラエティなど、さまざまな番組で活躍。神奈川県は高校野球やプロ野球も盛んなので、憧れのスポーツの分野に関わる機会も増え、やりたかったことに挑戦する日々。週4日は昼の生放送を担当し、刺激を感じながら、ひとつのものをみんなで作るよろこびを感じている。