音楽学科

卒業と同時にプロの世界へ

- 世界を目指す、コンテンポラリーダンサーの挑戦 -

コンテンポラリーダンサー 飯田さん

プロのコンテンポラリーダンサーとして活躍する飯田さん。もともとクラシックバレエを習っていて、高校生のときには英文学科への進学も考えていたそうです。コンテンポラリーダンスを学ぶきっかけになったのは、神戸女学院大学の公演で島﨑徹先生の作品である『Here We Are』を観賞したこと。「この作品を踊りたい!」という思いから、舞踊専攻への入学を決意したそうです。
それ以来、在学中から現在にかけてどのような研鑽を積まれてきたのかお話ししていただきました。

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1年生のときは床が怖くて踊れなかった

クラシックバレエは床に対して垂直に立ち、重心を引き上げるのが基本。でも、コンテンポラリーダンスは反対で、重心を落とします。床に転がるような振りも多く、クラシックしか知らない私はなかなか馴染めませんでした。怪我をしてしまいそうで、床が怖かったんです。
恐怖を克服したのは2年生になってから。怖がっているばかりでは前に進めないので、床と友達になろうと思いました。慣れてくると、重心を引き上げたり落としたりといった使い分けも理解できるように。3、4年生になると踊る作品の数が増えるので、幅広い技術や表現にも触れることができました。
ただ、大学ではコンテンポラリーダンスだけを学んでいたわけではありません。島﨑先生は「ダンスがすべてではない」とおっしゃる方で、ダンスを通して人生を見るということを教えられました。最初は技術ばかりを追い求めていた私ですが、先生との出会いを通してダンスに対する見方が変わり、自分の人生の一部だと思うようになったんです。

先生の薦めでダンスカンパニーに入団

卒業後の進路はテーマパークのダンサーになるつもりだったのですが、島﨑先生が海外のダンスカンパニーを薦めてくださったんです。でも、言葉の通じない環境でいきなりプロになるのは私にとってハードルが高すぎたので、新潟のダンスカンパニーである「ノイズム」に入ることにしました。
2年間の契約期間が終了したとき、更新するという選択肢もありましたが、新しいことにチャレンジしたかったので退団しました。島﨑先生に連絡したら「会いにおいで」と言ってくださり、海外のカンパニーのオーディションを受けるように強く背中を押されたんです。それで急遽、アメリカのカンパニー「Hubbard Street Dance Chicago」のオーディションを受けることに。力試しのつもりでしたが、うれしいことに採用されたんです!でも、政権が変わったことでビザを取得できず、残念ながら行けなくなってしまいました。
そうはいっても、海外に飛び出すことを諦めたわけではありません。日本で力を蓄えつつ、引き続きオーディションを受け続けるつもりです。

私はまだ、新しい世界を知らない

クラシックバレエを習っているときには、いつもセンターで踊らせてもらっていました。それで自惚れていたのか、自分ならプロになってもやっていけるはずだと思っていたんです。
そんな甘さは、ノイズムに入ってすぐに打ち砕かれました。プロの世界の厳しさを突きつけられ、学生のときは優しい先生方に守られていたのだと実感。本当に苦しい2年間でしたが、おかげで大学のときよりもさらに成長できたと思います。
大学ではダンスに対する考えの幅が広がり、ノイズムではプロの世界の厳しさを知ることができた。2つの経験が私のなかで融合して、今はとてもいい感じです。
でも、アメリカのカンパニーに行けなくなってしまったことで、人生が少し停滞してしまいました。つい甘えてしまう環境なので、自分にはこれまで以上に厳しくする必要性を感じています。楽な環境に甘んじるより、悔しい思いをしてでも大きな成長を得たいというのが私の願いです。

大学でコンテンポラリーダンスを学びたい方へ

これから舞踊専攻に入学する方には、何よりもダンスを楽しんでほしいと思います。神戸女学院大学は、自分を見つめ直すには最適な環境。プロの先生方の指導を受け、劇場で踊るという経験を重ねるうちに、ダンスだけでなく人生に対する意識まで変わります。
学生は1学年に10人程度なので、先生との距離が近いのも大きな魅力。どの先生にも気軽に相談ができました。島﨑先生は世界で活躍する偉大な先生ですが、舞踊専攻の学生にとってはお父さんのような存在。いつも私たちを見守ってくださって、ついレッスンから逃げて遊びに行ってしまう学生も放っておきませんでした。先生との間にかけがえのない信頼感を築くことができたのは、少人数クラスだったからこそだと思います。
最高な4年間になるということは、私の経験から確信できます。コンテンポラリーダンスを学びたい方はぜひ神戸女学院大学に入学してください。(※2024年度以降学生募集停止)

Profile

音楽学科
飯田さん コンテンポラリーダンサー

2014年3月、音楽学部音楽学科舞踊専攻卒業。日本では唯一の公共劇場専属ダンスカンパニーである「ノイズム」に入団。挫折を味わいながらも、プロの世界で経験を積む。2017年にはアメリカのダンスカンパニー「Hubbard Street Dance Chicago」のオーディションに合格。現在は神戸女学院大学に聴講生として在籍しながら、国内の作品に出演している。