阪神大震災を機に、念願だった映画の世界へ。076どうやったら映画を作ることができるのかもよくわからない私は、ある日、企画書をNHKに持ち込んだんです。今思えば、ただの学生がそんなことしても追い返されまよね(笑)。でも、そのときたままた見ていただいた方に、だったらNHKで働けば?と勧めていただいて。「お給料をもらいながら作品をつくれるぞ」という考えもあって(笑)、入局を決めました。自分の企画で番組をつくれるようになった頃、阪神大震災が。自ら被災しながら取材して切実に感じたのは、「明日何が起こるかわからない。私の本分である映画の道に進まなくては」ということ。同時に、避難所で人々と向き合ううち、誰もが食べ物、空間、感情をシェアして生きていることに気づいたんです。避難所だけでなく地球全体でもそれは同じで、「生きていくことはシェアすることだ」というテーマを強く感じて。映像を通してこのテーマを発信したいと思い、退職して映画の道へと踏み出しました。助監督として映画の世界を学び、2009年に映画監督デビュー。2017年の『幼な子われらに生まれ』では、第41回モントリオール世界映画祭で審査員特別大賞を受賞しました。みしま ゆきこ1992年、文学部 総合文化学科卒業。在学中からインディーズ映画を撮り始め、卒業後NHKに入局。2003年に劇映画を撮るため独立。2012年に『しあわせのパン』を発表、以後『ぶどうのなみだ』『繕い裁つ人』『少女』を発表。2017年の『幼子われらに生まれ』では、国内外の映画祭で数々の賞を獲得。
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