70周年記念誌
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厳しさの裏側に「愛」がある。101-Memory友人との時間よく遊び、よく学んだ女学院での4年間。今でも「悔いなし!」と胸を張って言える学生時代を過ごしました。-Spotソールチャペル辛い時、落ち込んだ時、嬉しい時。畏敬する存在を感じながら、自分と静かに対話できるこの空間が今でも大好きです。や……岡田先生に叱咤激励され、女学院の非常勤講師に。その後専任講師から米国留学を経て、今は教授として、学長として、岡田山で過ごす毎日です。厳しい指導は、教える側にとってエネルギーを使いますし、責任も伴います。レッスンで学生に厳しく叱った後は「来週、ちゃんと来るかしら……」といつも悩みます。でも、翌週の学生のニコニコ顔と伸び幅を目の当たりにして、ほっと胸をなでおろす、の繰り返しです。一人ひとりの本質を見極め、どういう方向からアプローチしていけば、彼女たちの眠っているものが引き出せるか。それを音楽家として、教員として、一人の女性として、常に考え続けています。私の人生を導いてくださった先生方の厳しい言葉すべてに、愛があった――年月を経るごとにそのことを強く実感できるようになり、今の私の支えになってくれていることを実感しています。私もそんな存在になれるように、一人ひとりの学生の“今”に寄り添いながら、ともに人生という舞台に立つ喜びを分かち合いたいと思っています。あの頃の私へ歌とは、自分の肉体を楽器にして奏でる音楽。肉体は日々変化し、いつか衰えを感じる日も来るでしょう。でも、その時その瞬間にしか出せない声や歌えない曲があるんです。年齢を重ねたからこそ歌える曲があることを知り、今、私は新しい分野に挑戦しています。学生時代だからこそ歌える曲、表現できる音楽を、存分に楽しんでほしいと思います。  

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